【対象年齢:2歳〜】

あくたれラルフ

ジャック・ガントス作

ニコール・ルーベル絵

いしい ももこ訳

童話館出版 1994年


素晴らしい絵本というのはなにも古典ばかりではありません。あくたれラルフには素晴らしい絵本のエッセンスがぎっしりとつまっていました。

 

イラストがとびきり素敵であることは言うまでもありませんが、たとえ絵だけが良くても子どもたちはすぐに飽きてしまいます。このあくたれラルフには何度も読みたいと思わせる物語があります。ラフルはセーラの飼っている猫ですが、どうしようもないほどにいたずら好きです。それが、可愛げのあるいたずらならいいのですが、ラルフのいたずらはひとを困らせたり怒らせたりすることばかり。その行き過ぎたいたずらにまわりのみんなはほとほと困り果ててしまいます。

 

でもそんないたずらが子どもたちには大ウケです。なぜなら普段自分たちがしているいたずらとそっくりおんなじだからです。もっとも子どもたちはいたずらをしているつもりはありません。ただ思いつくままに行動しているだけ。それが大人たちからみればとんでもないいたずらにみえるだけのことなのです。

 

しかしラルフもあまりに度が過ぎて、サーカスに置き去りにされてしまいます。そこでしこたましごかれてようやく家族のありがたみを知るのです。このくだりは大人が読んでいて気持ちの良いものです。いたずらっこに天誅がくだったぞと。そこへセーラがラルフを探しにやってきました。どんなにいたずらがひどくてもやっぱりセーラはラルフが大好きなのです。

 

ラルフはうちへ連れて帰ってもらってお父さんやお母さんからも温かく迎えてもらいます。

おまえがいなくなってさびかったよ、とお父さんは言いました。

 

さあこれでラルフもすっかりおとなしいねこになったのかとおもいきや……。

 

そうですね、あなたのうちの子とおんなじですよ!

 

ところで、原作ではセーラの名前はサラと書いてありました。どうしてセーラになったのでしょう?

そしてラルフはシリーズ化してこのあとに何冊も続くのですが、日本の出版社が変更になり、同時に訳者も変わり、全体の語り口がかしこまった調子になってしまいました。個人的にはいしいももこさんの少々ぶっきらぼうな口調のほうがラルフにはあっていたように思います。