【対象年齢:3歳〜】

あなぐまのはな

パウストフスキー作

ワルワラ・ブブノワ絵

内田莉莎子訳

福音館書店 1960年


海外の絵本が素晴らしいと思うことのひとつに、日本人の作家からは到底でてこないような発想の絵本に出会えることがある。

この「あなぐまのはな」もそんな本である。森でキャンプをしていたら、穴熊が焚き火で料理していたフライパンに鼻をつっこんでやけどをした。翌年また森へでかけたら鼻に傷のある穴熊がこちらを恨めしそうに見ていた。おしまい。こんなお話である。

 

これを単純に絵本として捉えようとするとどうしても違和感しかなくなってしまう。しかしこれが絵日記だと言えば内容にも納得がいくのではないだろうか。ここには子どもを喜ばせようとする要素は皆無である。ただたんたんと事実を記録しただけなのだ。こんなことがあったよと言われたら、へえとしか言いようがない。だけども自分用に書いた絵日記なのだと言われれば、これほど腑に落ちるものはない。

 

絵本には様々な形態がある。その多くはいかにして子どもを喜ばせるかということに注力しているが、本書のように絵日記の見本を指し示す本はそうないのではないだろうか。子どもが小学生になって絵日記を書かないといけないがどう書いていいかわからないと言ったらだまってこの本を差し出せばよろしい。