【対象年齢:2歳〜】

うちがいっけんあったとさ

ルース・クラウス作

モーリス・センダック絵

わたなべしげお訳

岩波書店 1978年(オリジナルは1953年)


「うちがいっけんあったとさ」は私が一番好きな絵本です。イラストはモーリス・センダックによるものです。小さい頃知らず知らずにモーリス・センダックの絵に触れていたと大人になって知りました。

 

センダックの初期のイラストは本書や以前紹介した「とおいところへいきたいな」のように線が細いイラストを描いていました。時代を経るにしたがって濃く力強いイラストに変わっていくのですが、個人的にはこの線が細い頃のセンダック(のイラスト)が一番のお気に入りです。

 

この絵本はまるで歌のようです。文章に節がついていて、ただ音読しようと思っても自然とリズミカルに読んでしまいます。調子をとるために「てれつくてんてん、すててん、しゃん!」なんて出てくるんです。原書ではなんと書いてあるのかとても気になりますね。

 

主人公である男の子が、彼の理想のおうちを描きます。でもそれは読み手にまるでなぞなぞを出すように問いかけるのです。

 

うちがいっけんあったとさ

りすのうちではありません

ろばのうちではありません

中略)

ぼくだけしってるうちなのさ

 

この本にはこどもの夢がぎっしり詰まっています。こどもの描く「A VERY SPECIAL HOUSE(原題)」がまさにこの中にあるのです。(ところでこの原題を「うちがいっけんあったとさ」と訳したのは素晴らしいですね。 )

 

クラウスの詩のような文章に、センダックの心から楽しいイラストが合わさって、歴史に残る名著になりました。絵本のあるべき姿がここにあります。すべての子どもたちに読んであげたい絵本です。とりわけ男の子にはぜひとも読ませたいものです。はじめは読んで聞かせ、自分で読めるようになったら何度も何度も繰り返し読み続けるでしょう。かつての私がそうしたように。