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ねないこだれだ

子どもというのは本当に千差万別だ。

昔テレビでおもしろビデオの投稿番組というのがあった。そこで小さな子が食事中に船を漕いでいる映像というのをよく目にしたのを覚えている。子どもというのはだれでも食事中に眠くなるものだと思っていたが、我が子がそうするのは見たことがない。

そんな面白い光景があったら迷わず撮影するのだが、しないんだから仕方がない。

 

子どもというのは夜になったら眠くなるものだと思っていたがうちの子はまったく該当しない。9時に寝かしつけを始めて寝るのが11時なんてことはざらにあった。2時間である。ちょっとした映画なら一本見られる時間をただひたすらお相手をして寝かしつけるのはなかなかに苦行だった。

 

保育園にはとにかく昼寝を短くしてほしいとお願いをしたが、昼寝の時間というのは先生にって聖域のようでそう簡単に短くしてくれることはなかった。それに夜寝ないくせに昼寝だと勝手に寝るのである。夜も自分で寝ろよと心の中で泣き続けたのを告白しよう。

 

2時間なにをしているのかというと、歌を歌い続けるのである。だれが?ぼくがですよ。

子守唄を延々と歌い続けるのである。なにしろ無言でいたら永遠に寝ないのだ。夜が明ける。アメリカはかつて戦争に勝つために睡眠を必要としないスーパーソルジャーの開発に余念がなかったというが、寝ない子ならここにいますよと言いたかった。

 

しかしそんな子もやがて自分で寝るようになるのである。うちの子は寝ないと心配するそこのお父さん。大丈夫です。必ずひとりで寝るようになりますから。今だけですよ。でもその今が死ぬほど長いんですけどね。

 

我が子は4歳になってひとりで布団に入れるようになった。相変わらず宵っ張りでいつまでも布団の中で起きているが、寝かしつけの手間がなくなっただけ大いなる進歩と言えよう。

翻って下の子は30分も寝かしつければ寝てくれる。ほんと子どもは千差万別だ。