
平成最後の一日もまたいつもと同じ朝で迎える。
長男は朝食のときいつも決まって「食べさして」という。
お菓子や果物など自分の好きなものはひとりで黙々と食べるくせに、ごはんは食べさしてという。一歳の妹は食べさしてやろうとすると手を伸ばして自分で食べようとするのにこの違いは一体なんだろう。いやなんだろうじゃなくて一人目というのはこちらも不慣れゆえに手をかけすぎて甘えん坊になりがちなのだ。
こちらの都合で最後まで食べさせを拒否することもなくはないが、大抵はぼくの膝に座ってぼくが運ぶフォークで食事をする。そんな姿を面倒くさく感じるとともに愛らしさもまた感じてしまうぼくがいる。子育てとはアンビバレントなものである。
とにかく甘えん坊な息子だが、最近自分のことを「おれ」と呼ぶ。「おれさあ」「おれそれ好き」「「あ、おれできるよ」小高い声でおれおれ言うミスマッチがまた可愛い。
外へ出れば大人と同じように振る舞おうと真似をする。その背伸びした姿がまたたまらない。じきにその背伸びが板につき、真似ではなくて当たり前になる。いつまでも甘えん坊は困るが、少しずつ成長とともに離れていく息子への感情は、嬉しさと淋しさが同居する。
平成が終わる。そして今日また一つきみは階段を登ったよ。