
息子が自転車に乗れるようになった。ずっとストライダーに乗っていたので自転車に乗るのはわけのないことだった。あとはペダルを回すという感覚と、漕ぐための筋力の使い方を覚えるだけでよかったからだ。実際息子はほとんどふらつくことなくあっという間に乗れるようになった。
3歳のときに親の勇み足で購入した自転車が、4歳になった今少し小さくて窮屈そうにみえる。ハンドルがフラットバーになればもう少し乗りやすくなるのかもしれない。しかし息子はそんなことはお構いなしに自転車という新しい道具を手に入れて楽しそうである。
ところで、自転車の練習の合間にこんなことを聞かれた。
「ねえおとうさん。どうしてみんなぼくに夢中になっちゃうの?」
「(む夢中?)え、なんでそう感じたのかなあ?」
「だってさ、みんなぼくが自転車に乗っているとジロジロ見るんだもん」
「そりゃあ、きみがかっこいいからだろう」
「いやだ。みんなが見るなんていやだ。さっきぼくしーらないしちゃったもん」
ですって。
私も高校生の頃初めて革靴を履いて世界が注目していると錯覚し妙にひとの視線が気になって仕方がなかったことがあったが、息子はどうやら4歳にしてそれを感じているらしい。なんと微笑ましい。しかし本人はいたって本気だった。しかしそこは4歳児。また自転車に乗って走り出すとさっきのことはすっかり忘れて思いっきり楽しんでいましたとさ。後を追いかけるお父さんは疲労困憊です。
※注:理解出来ない方に説明しますと、中学生まではスニーカーしか履いたことがなかった永井少年が高校生になって革靴という大人アイテムを手にしたことで、道行く人があらあのかっこいい少年はだれかしらと見られるのではないかという自意識が異常に高くなる年頃というのがあったんですね。