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真夜中の、ダダンダンダンダダンッ!!

レイトショー。それは子育て世代の強い味方である。それも上映開始時間が21時半ともなれば家のことをすっかり片付けた上で余裕をもって出かけることができるからなお上等である。

 

ターミネーターは今回で6作目となるが、監督のティム・ミラーが345はなかったことにしたいとインタビューで発言して本当になかったことになっていたのには驚いた。こんなことが許されるのか。マーベルやDCコミックものはリブートを繰り返していて、あれもどうかとおもうがそれでもその都度キャストを総入れ替えしての話である。今回のターミネーター:ダークフェイトのようにキャストを継続してその中間作品をまったくなかったことにしてしまったのは珍しいケースではないだろうか。

 

そんなことが堂々と許されるのならエピソード8もなかったことにしてエピソード10まで制作して欲しいものである。スターウォーズの話である。12月20日に公開されるエピソード9は広げすぎた風呂敷を回収できないまま消化不良を残して終了するであろうから、もう一作追加するのである。今回のターミネーターを見てディズニーも「いけんじゃね?」と思ってくれればいいのだが。

 

さて、この先ネタバレます。内容を知りたくないひとはここでストップ!

 

さてさて中間作品を軒並みなかったことにしただけあって、ダークフェイトはそれなりに楽しめます。スカイネットが存在しなくなった未来から送り込まれたT-800によってジョン・コナーが殺されてしまう謎と矛盾だけはどうしても納得いかないし、これほど重要なシーンが不可解な矛盾のあるスクリプトのまま進行したこと自体が謎というかハリウッドのいい加減さを象徴しているようで、この一点のせいで鑑賞後もまったくすっきりしません。あのターミネーターはどこからやってきたのでしょうか?

 

それともぼくが見落としたことがあるんでしょうか。そんならそのほうがいいのだが。

 

ラストカットの発想のちゃちさは見ているこちらが恥ずかしくなるレベルだが、冒頭の矛盾のほうが大きくてどうでもよくなります。そしてやはりターミネーターの最高傑作はパート2だったと再認識した。そして、ダークフェイトは低予算で作られた第一作よりも劣ってしまったと思う。結局のところ、映画の良し悪しを決めるのはかけた金額でもアクションの規模でもVFXのクオリティでもなく、きちんと作り込まれたお話と作り手の情熱であるという極めて純粋でシンプルな結論に帰ってくるということです。

 

あんまりがっかりした話ばかりでは無粋ですから、印象に残ったカットについて一言添えて置きたい。ターミネーターRev9に追われて逃げる面々は、違法ルートで国境越えをしようとある列車に乗り込む。そこで息子を殺されて以来すっかりやさぐれてしまったサラ・コナーが自分と同じ境遇にあり、ターミネーターに追われているダニーに皮肉をいうシーン。私のお株をあなたに譲るわ的なことを嫌味っぽく言う。するとダニーを守るために未来から送り込まれた強化人間グレースが、何がお株なもんですかといってサラを軽蔑して席を立つ。そのときのサラの表情が秀逸だった。白けた空気に口軽に言い過ぎた恥ずかしさを表情ににじませなんとも言えない顔をした。ああいう演技はなかなかできるものじゃないと思う。ああ此の人演技上手いなと思った瞬間だった。