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恐竜博士、恐竜に会う

息子は今大の恐竜ブーム到来中である。自らを恐竜博士と名乗る一方、自らが恐竜となってあたりにあるもの手当り次第に荒らしている。それは食事中に特に顕著となり犬食いならぬ恐竜食いをするので母をいつも怒らしている。注意されるとウォーガオーと吠え返して墓穴を掘りさらにこっぴどく叱られたりしているが、本人はまるで堪えたふうもなく今日もまた恐竜になりきって徘徊している。

 

そんなに恐竜好きならってんで、週末に上野の国立科学博物館に連れていくことにした。恐竜の化石に会えると聞いただけで息子の興奮はマックスに達した。こりゃ本物みた瞬間卒倒でもするんじゃないかと心配したが、同時にどれだけ喜ぶのか楽しみでもあった。

 

果たして、恐竜エリアに足を踏み入れたときのリアクションが上の写真である。大きな叫び声とともに正面横天井の三方から攻め込んでくる恐竜の洪水に息子はその場でくるくる回った。

 

叫び吠え走り回って一通り感動を表現したところで息子は言った。ほかの恐竜は?

 

ご存知の通り、ここ国立科学博物館は恐竜博物館ではない。よって恐竜の扱いはあまり多くないのである。その後動物の剥製を見たりして一通り回ったところで感想を聞いてみると、恐竜が思ったより少なくて面白くなかったというお言葉を頂戴した。

 

ちぇ、あんなに興奮していたくせに。「お父さんすごい楽しかったよ、また来ようね!」なんて安っぽいテレビドラマみたいなセリフは出てくるはずもなく、子どもの欲望というのは無限であると改めて思い知らされたのであった。

 

カレーが食べたいという息子の願いを聞いてやるべく御徒町方面に向かって彷徨ったがカレー屋は見つからず、他のでもいいかと聞いたらラーメンというので、手近なラーメン屋に入った。そこのラーメンが激まずで息子は一切口をつけず、さして美味くない餃子だけ食べてお父さんはぐにぐにのラーメンをすすった。

 

それじゃあお腹いっぱいにならないだろうと思って錦糸町についてからコンビニでアイスを買って錦糸公園の噴水の脇に腰を掛けて二人で食べた。そんなふうに下からかじったらアイスが落ちるよと何度か注意したが息子はネズミのように外側をガリガリ削ったためごろんと大きな塊が地面に落ちた。ほらね、と言ったけど後の祭り。しかしなんだかんだ餃子だけでそこそこ腹は膨れていたと見えてあまりうるさいこと言わなかった。

 

じゃあお家に帰ろうといって徒歩五分の道のりを小一時間かけて(なんで?)帰宅し、ぐったりと疲労が押し寄せてきたのはぼくの方だった。ちょっと昼寝をしようとベッドに潜り込んだら俺も俺もと息子がすり寄ってきて二人で寝た。とりあえずほっぺにチューをしたら息子が拭いた。

 

国立科学博物館の日本館は重要文化財に指定されている古い建物なのでいい写真が撮れますね。