
5歳になった息子は最近数字の概念を獲得しつつある。
数字はある一定のルールに従って数えることができ、それによって小さな数字から大きな数字まで順繰りに増やしていくことができると知ったのである。
ある時息子がぼくのそばへやってきてこう言った。
「おとうさん、数かぞえてあげよっか?」
嫌な予感がしたが、せっかく息子が成長の証を披露してくれるというのだから無碍に断るわけにもいかない。
「うん、いいよ」
「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,…」
ぼくは息子の顔を見ている。
「50,51,52,53,54…」
最初はおおすごいすごいなんて関心して聞いている。
「90,91,92,93…」
そろそろ飽きてきて、一体いくつまで続くんだろうと心配になってくる。
「143,144,145,146,…」
笑みが苦笑いに変わる。
「190,191,192,193,194,195,196,197,198,199!」
息子は声高々に199を宣言するとそこでついに数えるのをやめた!
ぼくは安堵すると同時にすごいすごいといいながら、ちょっとだけその先が気になってしまった。
「ねえ、199の次は?」
息子は身を捩ってこたえない。もしかして199が限界なのかないと思って
「199の次は200だよ」
と言うと、しってるってばあ。でももうこの話はおしまい!と一方的に切り上げられてしまった。
息子は永遠に終わらないナンバーカウントに気がついたのだろうか。それとも199の壁にぶつかったのだろうか。いつもの恐竜遊びに戻ってしまった。
いや1000まで聞かされなかったのだからこれでいいんだろう。
昨日など、
「おとうさん1800歳まで生きたら、おれもう大人?」
と聞いてきた。
息子よ、1800歳といったらマスター・ヨーダの倍も生きることになるのだよ。
フォースと共にあらんことを。