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The Golden Month : DAY 2

昨日の冬の雨を吹き飛ばした北風がびゅうびゅうと吹いているが、空は澄み渡る快晴。

天祖神社へ向かう道も楽しい散歩になる。保育園が休園の期間は毎朝家族で天祖神社に

お参りに行こうと決めたのだ。これは、朝保育園に行くのと同じように外にでる習慣をつけるのと同時に規則正しい生活を送るための手段として妻と相談して決めたのである。

昨日はまさにその一日目だったが冷たい雨の中を歩く苦行になった。しかし雨の日こそ

無理やりにでも外出する機会を作らないとずっと家に閉じこもってしまう。

大人ならそれでも構わないが子どもにはストレスになる。それはつまり機嫌が悪くなり、要求ばかりするようになり、最後に親がブチギレて崩壊するのだ。もはや予測とは呼べないほどのほぼ決定事項を回避するためにぐずぐずぐだぐだごねごね言う子どもたちと表へ出よう。

 

今日は晴れてこそいるが冷たい北風が強く吹いている。

しかしぼくは下の子を電動アシスト自転車の前シートに乗せ、上の子を自分の自転車に跨がらせて神社から戻るなり出発した。母親から離れたがらずに泣く娘をやっとシートに乗せたのに、「パンパン。パンパン」とパンを食わせろと泣き叫ぶので近所のコンビニでいきなり下ろすはめになる。前シートは乗せたり下ろしたりするのが大変なので、できるだけ回数を減らしたいわけだが、思い通りにさせてくれないのが子育てである。

 

二人にカニパンを買い与えて再出発だ。

このカニパン、ぼそぼそして大して旨くもないのにカニの形をしているというだけで、子どもたちに大人気だ。かくいうぼくも子どもの頃好きだったような……。

 

さて今日は息子にちょっとした冒険をさせてやろうと思っていた。自転車で遠出ができない代わりに普段走らない道を走るのだ。それもただの道ではない。路地なのに日当たりがよく、草花が生い茂り、都会の喧騒を忘れられる小路を先日偶然発見していたので、その通りに案内してやるのである。

 

そしてひみつの公園が終点だ。もっとも地域のひとにとっては秘密でもなんでもないが、ぼくの周りで知っているひとは少ないはずだ。そして今日は人っ子一人来ていない。独り占めの公園のベンチで三人並んでパンを食べて自由時間にする。兄貴はひとりで遊べるが妹はまだぼくがつきっきりでないといけない。しばらく遊んでいたが抱っこをせがむようになったからそろそろ撤退しよう。

 

とは言え、家へ帰るわけにはいかない。それに息子はまだ遊び足りない。そこでまた自転車で小路を走り冒険の世界を広げてみることにした。範囲で言えば大した距離を走っていないが、知らない道を走るのはぼくも楽しいものである。そうして車の来ない道を探しながら東陽町まで出てきて通りに出ているひとの多さに驚いて道を引き返し別のルートを通って帰宅した。

 

娘はシートで時折うとうとしていたが、風景の珍しさが勝って最後まで眠りに落ちることはなかったし、息子も目一杯ペダルを回したから体力を使ったろう。その証拠に疲れたのか午後になると娘は爆睡し、兄貴は「わりと」静かに過ごしていた。

 

二人の笑顔に包まれて二日目の夜はふける。