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The Golden Month : DAY 4

晴れたが気温が低く風が冷たい。

こういう日はじっとしていると体が芯から冷えて公園を抜ける風がキビシイ。

旧中川沿いを自転車で散歩すると望遠レンズを構えた御仁が二人いて、双眼鏡で彼岸を眺める女性が傍らに立っている。鳥を見ているのは間違いないが何の鳥がいるのか気になって自転車をとめた。最近息子は鳥も興味対象になっていて恐竜よろしく図鑑を隅から隅まで熟読しているのだ。

 

対岸までおよそ25メートル。枯れた葦が茂った先になにかがいるようだ。レンズの向きを頼りに目を凝らすとカワセミがいた。オレンジ色の腹をこちらにむけてじっと横倒しになって弧を描いた葦の上にとまっている。

 

カワセミがいるよ。見えるかい、カワセミだよ!

と息子に教えるが息子にはじっとしているカワセミの姿がどうしても見えない。見つからないのはぼくももどかしいが本人はもっともどかしいだろう。ぼくもなんとしても生カワセミを見せてあげたいのだが、そいつは枝にとまったまままったく動かない。ところがよくよく観察しているとどうやらもう一羽いるようだ。そしてふいにその一羽が川を横切ったのである。

ブルーグリーンの羽が陽光に煌めき、一条の輝く軌跡を残して視界から消えていった。

 

ほらカワセミカワセミ!見えた!?見えた!?見えた!?

見えた!見えた!見えた!

 

動物園で見るのとは違う野生のカワセミの姿を見ることができて息子は満足げに笑った。

2歳の娘は水面に浮かぶキンクロハジロをいつまでも飽きずに眺めていた。また2,3年したら

こうした感動を今度は娘と味わうことができるんだろう。その頃息子は新しい世界に没頭しているに違いない。