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The Golden Month : DAY 9

息子は待遇を最低でも妹と同等、基本的には妹以上を両親に要求する。

 

2歳の娘が石段に乗って両腕を伸ばし、ジャンプしたいと言う。ぼくが手を掴んで飛び降りる手伝いをしてやると喜んでも一回と石段によじ登る。娘はきゃっきゃと声をあげて楽しんでいる。何回か繰り返しているところをアニキが目ざとく発見するとオレもオレもオレもとものすごい勢いでやってきた。

 

5歳の息子には低すぎる石段である。しかし息子は懸命に腕を伸ばして同じようにジャンプを要求した。ぼくは仕方なく手を掴んで手伝ってやる。しかし重い。重すぎて飛び上がらない。だが息子は嬉しそうに妹がジャンプした回数と同じだけ飛ぶといってきかない。

 

じゃあ代わりばんこね、とぼくは言って娘にジャンプをさせてやる。今度は脇の下から支えたから高い高いになって娘の笑顔が弾ける。

 

オレもオレもオレも!はいはいはい。

だが体重16キロにもなると持ち上がらない。どうやっても低い低いにしかならない。重い。重すぎる。息子はそんなことに気にすることもなく「妹と同様」を楽しんでいる。ぼくの腕が上がらなくなったので終了を宣言する。

 

何回やった?すげーいっぱいやった?と聞くからやったやった1200回やったと答えると

ぐへへへふ。1200回はやってねーだろー、100回はやった?

やったやった100回以上やったよと言うと満足そうだった。

 

これと同じような話は妹が滑り台に登る格子状の鎖をよじ登ったときに拍手をしたら、アニキも同様に拍手を要求したなど枚挙にいとまがないから割愛する。