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The Golden Month : DAY 15

「暗澹」

 

保育園からメールが来た。

5月7日再開予定だったが、5月31日まで休園を延長するというメールだった。

ずいぶん簡単に言ってくれたな、と思った。

ぼくのような創業間もない人間で、人と会うことでしか仕事が成立しない職業で、これから仕事を獲得していこうという立場の場合、公的な助成はまず期待できず一律10万円が唯一の補償である。

 

だからぼくはGW開けを心待ちにしていたし、正直に言えば現在の主夫生活もGW明けたら動き出せるというのがモチベーションになって続けていられた。5月7日から劇的に仕事が動き出すわけではないが、気持ちの問題として大きかったのである。

 

そこに、あと3週間伸びますという事実を突きつけられた。今のぼくに「たったの」3週間と思えるだけの余裕がない。この延長を知った瞬間、「あ、詰んだな」と思った弱いぼくが顔を出した。

 

午前中に目一杯公園をはしごして遊び、お昼を食べに一時帰宅してから午後再び別の公園へと出発した。到着してまもなくポツリポツリと雨粒が落ちてきて、やがてそれは本降りの様相を呈してきたので子らに声をかけ自転車に乗った。

 

帰りの道中雨脚が強くなりぼくは後ろを走る息子を心配したが、むしろ彼は雨を楽しんでいた。びしょびしょになった自分を楽しんで、雨で自転車がピカピカになったと嬉しそうに声を上げて笑った。ぼくは一刻も早く屋根のあるところまで走りたかったが、息子は屋根の下についてからもう一度雨に打たれたいと言った。

 

雨という現実を前にしてぼくはネガティブな感情を抱き、息子はポジティブな発想を生み出している。またひとつ息子に教えられたと思った。子どもってすごいな。

 

自転車置き場でフロントのチャイルドシートを覗くと娘は寝ていた。この雨の中、雨に濡れながらよく眠れるなと感心した。雨など気にしていないのだ。まるで雨は降っていなかったかのように。そのくらい神経太くなくっちゃいけないよ。そんなふうに言われた気がした。

 

はっきり言って、勝手に遊ばせておくことができない年頃の子どもをフルタイムでみるのは大変である。タ・イ・ヘ・ンである。やってみるまでこんなに大変だと想像できなかったが、今では専業主婦の気持ちが痛いほどよくわかる。

おとこそイベントが再開できた暁には実地で得たこの知見をみなさんと共有したいと思っている。育児に参加するとはどういうことか、本当の意味がわかったような気がするのだ。

 

閑話休題。

 

自転車から下ろしても目を覚まさない娘を運び、濡れた洋服を着替えさせてからベッドに寝かせた。あんまり深く寝ているので思わず鼻に耳をあてて寝息を確認してしまったくらいだった。雨に1ミリもたじろがない娘のまんまるのほっぺを眺めていたら、どんなことがあってもやり抜かねばという気持ちが弱いぼくを押しのけた。全ては家族のために。

 

ぼくがしばらく添い寝をしていると、ジェラシーを感じた息子が割り込んできた。