
「予期できないこと」
我が家の2歳のプリンセス。お歌が上手で、おちゃめで、ひょうきんで、そしてなんてったって思い切りがいい。あんまり思い切りがいいもんだから、お父さん何度も身を持ってそれを知ったよ。
思い出せばキミが1歳の頃。キミがとびきりにジャンプするもんだから、思わず詠わずにはいられなかった。
一歳児 不意の頭突きに 父鼻血
その思い切りのよさは2歳になっても健在だったね。
だけどぼく、それは親として信頼されているととっているよ。だってそんな無防備に力いっぱいぶつかってくるなんて、ちゃんと受け止めてくれると思っていないとできないことだからね。
サーカスの曲芸師が空中ブランコで両手を離せるのは、絶対受け止めてくれるという相手への信頼が前提っていうだろ? フィギュアスケートのデュエットだってそうさ。
キミがまるで熟練のボクサーのようにノーモーションで全力でぼくに向かって発射してくるのだって世界のペア競技よろしくぼくを絶大に信用してるっていう証拠だもんね。
今日も狙いすましたミサイルみたいな飛び込みもキミとぼくのコンビネーションの為せるワザさ。
ただちょっとね、ちょっとだけね、当たりどころがね。ううん、もちろんキミが悪いんじゃないさ。それはね、ぼくがね、男だってことに、じゃっかん関係があったってことだけなのさ。いいんだよ。気にしないでくれたまえ。ちょっとばかりね、悶絶。
