
「干し芋」
息子の大きな鼻の穴にはいつも鼻くそが詰まっている。そんなに入っていて気にならないのと聞くとエヘヘへと笑う。自分で取ってきれいにしたらというとヤダと言う。
じゃあお父さんが取ってあげようかというといつもは逃げるのに、今日は珍しくやってだって。それで息子の鼻の穴には少し大きいぼくの人差し指で取っ掛かりを引き出し親指とでつまんで引き出すとすごいのが取れた。
「ちょっとなにこれ、でかい干し芋取れたよ」
我が家ではその色合いから干し芋と呼んでいるその塊をみて、息子は転がるような声を出して笑った。
「よしじゃあもうちょっときれいにするか」ぼくがそういってティッシュで指を拭ってから息子の鼻に再び指を近づけた。
「くっせー」
彼は顔をぼくの指からそむけてケラケラケラと笑った。
「自分の干し芋じゃんかよー」
ぼくもそういって笑った。息子とぼくは腹を抱えて笑った。
我が家の日常のヒトコマ。