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The Golden Month : DAY 41

「オレ焼きそば大好き!」

 

相変わらず我が家のランチは焼きそばか焼きうどんを繰り返している。もっとも先の件があってから、以前にくらべて例外が増えていて炒飯やパスタや昨夜の残りのアレンジものなどを出して子どもたちに喜ばれている。ただし、それはあくまでも例外であって基本は焼きそばか焼きうどんだ。

 

先日、冷蔵庫を開けると焼きそばとうどんがあったので息子に選ばせた。

「焼きそばと焼きうどんどっちがいいかい」

 

すると息子は焼きそばがいいと言う。そしてこんな言葉まで飛び出してきた。

「オレ、焼きそば大好き!」

 

なんということだろう。あれほど激しく怒りをぶつけていた焼きそばが好きと言うではないか。それもただの好きではない「大好き!」である。この子は時々こうして親の琴線に触れることをいうことがある。大丈夫かい無理をしていないかいと言いたくなるが、息子にはどうしようもなく我慢がきかない時と、非常に聞き分けのよい時があって、この日は聞き分けのいいモードに入っていたのだろう。しかしそんなふうに言われて嬉しくないわけがない。ぼくはすっかりいい気持ちになって焼きそばを作ったのである。

 

焼きそばがあっという間に出来上がると3人分に分けて出した。息子はモリモリと自分の焼きそばを食べ、さらにこんなセリフまで口にする。

 

「ああ美味しい!オレ焼きそば大好き。お父さん作ってくれてありがとう」

 

日本全国のお父さんお母さん、息子にこんなこと言われたらどんなに心が高まるかわかりますね。ぼくはきれいに食べたね、えらいえらいと言いながらほっぺちゅーちゅーぎゅーぎゅーしないわけにはいきませんでした。それにしても我が子ながら自然に「ありがとう」という言葉がでてくるのが素晴らしい。ぼくは子供の頃ありがとうが言えない少年でしたから。

 

さていい気分で昼食を食べ終えたあと、息子はまたいつもどおりの悪たれにもどっていたが、それでいいのである。いい子はうれしいが、ずっといい子というのは気持ちが悪い。いい子になったり悪さをしたり駄々をこねたり妹をいじめたり、そしてまたいい子になったりするのがまったく自然ではないかと思う。

 

5歳の少年はその時々に成長の片鱗をみせ、ぼくを驚かし感動させる。

そして思う。ぼくはキミを感動させてあげられているかい、と。