
「ただの日常に疲れる」
さあ行くよと言えばイヤだという。もう行くよと語気を強めればいーやーだという。二人揃っていう。いつものことである。ところが今日はどうしてか倦怠感。
朝の天祖神社への散歩から帰って掃除機を取り出して部屋の掃除をする。一人暮らしの頃、いや妻と暮らすようになってからでさえ一週間に一回掃除機をかければ十分だった。今はほぼ毎日掃除機をかけている。掃除機がけ自体は嫌いではないどころかむしろ好きである。学生時代部屋をシェアしていたときでさえ(女性二人と住んでいた)ぼくが掃除機がけをしていたくらいである。しかしたった一日で、或いはものの数分で床がゴミだらけになるのはさすがに辛い。
掃除機を かけたそばから パンを食べ
ほらみろあんまりすぐ汚すから一句生まれてしまったではないか。
ぼくが掃除をして子どもたちから目を離したすきにケンカが勃発する。2歳児に容赦のない5歳児、2歳児一歩も引かずに応戦しさらに5歳児激情する。バチンッ!うわーん!何やってんだーっ!!の繰り返し。
さあ、気を取り直して公園に行こう。昨日から都立公園の遊具が開放されたので今日は猿江だ。もっとも帰りに西友に寄りたいから最寄りの猿江なんだけれども。公園は子どもたちの歓声が戻っていた。久しぶりの遊具で羽根を伸ばす子どもたち。そうだよな、これが平時の風景だったよな。なになにジュースが飲みたいだって。いいよいいよさあこれを二人で飲みなさい。ぼくは自動販売機でアップルジュースを買って与える。二人は奪い合うようにしてそれを飲み干した。ぼくが空になったペットボトルをゴミ箱に捨てようとすると「じぶんで!」といって娘が手を伸ばした。なんでも自分でやりたがるお年頃である。ちなみに娘は自分でを「むーすんでー」という。あんまりかわいいから自分でと発音させないようにこちらもむーすんで捨てる?などと言ってしまう。
娘が燃えるゴミへ入れようとするから、こっちだよと丸い穴のほうへ誘導する。ところが燃えるゴミに入れるといって譲らない。説得に効果なし。ぼくは無理やりボトルを取り上げると丸い穴の方へぽいと捨てた。号泣。大号泣。だぁっこぉぅっ!だあっこだあっこだあっこ。おとうさんだっこぉっ!!びーびーだーん!びーびーだーん!びーびーだーん!
娘はなぜかBB弾に目がない。公園に落ちているBB弾を見つけると大事そうにポッケにしまって持ち帰る。小石も持ち帰るがBB弾に対する執着は比でない。このときもペットボトルを思い通りに捨てられなかった痛みをBB弾を所有することで埋めようとしていた。そしてそのBB弾をぼくに探せというわけだ。普段ならそのへんに落ちているBB弾も今日に限ってはどこにも落ちていない。13キロになる娘を抱えて公園を行ったり来たりする。重い。腕がしびれてきた。。。そして結局BB弾は見つからず場所を変えようと提案する。ね、違う場所行こうよ。そしたらBB弾みつかるよきっと。おにいちゃんに違う場所行こうって言いに行こう、ね。おにいちゃん、鳥の池公園に移動しようよ。ヤダッ!兄弟二人の意見が一致したことはない。あちらを立てればこちらが立たず。お父さんこめかみがピシピシいいます。
どうやってその場を立たせたのかはなぜか覚えていませんが、とにかく池のほとりに移動した。ここは前回山のようにBB弾が落ちていたので今回も確実であった。ほらみろここに落ちている!かくして娘の心に平安が訪れる。時計をみれば11時過ぎ。西友で買い物をしてランチを作る時間を想定すればそろそろ引き上げ時だった。よし、帰るぞ。ヤダッ!クソ。こういうときだけ息を揃えやがって。
お父さん、こんなに買って自転車に乗るの?5歳児のくせになかなか鋭いことをいう。こういっちゃあなんだが、うちの息子は賢い。このときもまさに図星をついてきた。いいかい、そんなことは乗せてみてから考えればいいんだよ。ぼくは知ったふうな顔をして息子を諭した。乗らせてみようホトトギスというではないか。
いかにママチャリといえど通常の乗せ方ではまず無理なのは自転車を前にして増々明らかになった。よし娘よ後ろにのりたまえ。ヤダ!あんなに後部座席に乗りたくて仕方がなかったのに思ったより座り心地がよくなかったのかどうしてもイヤだという。しかしフロントのチャイルドシートに荷物を積まずして乗るはずがない。ぼくは嫌がる娘を強制的に後ろに座らせてベルトを締めた。ほら、前の席があけば楽勝さ。ぼくは買い物袋を重ねてその上にトイレットペーパーを積み上げた。このときオムツが品切れで買えなくてよかったと内心胸をなでおろしたのはここだけの秘密だ。
娘は帰宅するまで叫びっぱなしだった。暴れるから自転車が振られる。片手で娘をおさえてなんとか帰宅する。卵がいくつか割れていたから今日は卵料理に決定だ。さあここからお昼ごはんの料理と相成るわけだが、 思ったより買い物に手間取り時間が経ってしまった。腹ペコ兄弟が背中でわめき続けるからとても料理どころではない。まずバナナを投入するも焼け石に水。そこでおやつ用に買っていたアンパンをしぶしぶ開けるとそれもまたたく間に食い尽くされた。これじゃあお昼(焼きうどんですが)は食べないなとおもいきやちゃんと食べたのだから食べるようになったなあ。とくに息子は少食男子だったからガツガツ食べる姿を見ると胸の奥がじいんと熱くなる。
そしてここから長い長い午後が始まる。中央公園の遊具で思い思いに遊び、砂場で裸足になって夢中になってやれやれやれ。どうして子どもってこんなに砂場がすきなんだろう。大人になると靴に砂がちょっとはいっただけでいやんなるのに。ようやく16時を過ぎて島忠に用事があって寄る。娘がレジの脇においてあったトーマスラムネを発見しわしづかみにした。だめだ。今日は買わないよ。だーめ。買いません。娘は島忠の床を転げ回って泣きわめく。2歳児イヤイヤ期あるあるです。ぼくは二人目なので動じません。残念だったな娘よ。はっはっは。そんなことでワシが折れるとでも思ったか。ブハハハハハハ。ぼくは娘を抱えあげると店を出る。こんなとき息子はいたって冷静なのだ。なに騒いじゃってんのみたいな顔してんの。キミで鍛えられたんだよ。
帰宅してまずズボンを脱がせた。ずっと砂場で座っていたのだ。それでベッドに上がられてはたまらん。脱がせたら必ずポケットの確認をする。するとじゃらじゃらじゃら。小石やらBB弾やらがでてきた。娘のポケットからはガラスの破片まで出てくる。ガラスはあぶないから拾っちゃだめだよと何度も言っているが、キラキラ光る誘惑に負けてしまうようだ。息子のポケットから出たゴミをぽいと捨てると後ろでうぎゃーという叫び声が上がる。どうやら捨てちゃいけないものがあったらしい。びーびーだーん!なんだお前もか。
あまりに大泣きするからBB弾をひろって出してやるとぴたりと泣き止む。そしてそのBB弾で遊びだした瞬間指で弾いてしまったらしく、一瞬で視界から消えてしまった!うぎゃー。おとーさーん、一緒にさがしてー。号泣。もう知らんがな。
夕食の準備を始める。お父さんいい匂いがする、親子丼でしょ!さすが息子いい鼻をしている。そうだよ親子丼だよ。やったーオレ親子丼大好き。うむうむかわいいやつめ。あとは卵をときいれるという段まで作ってから先に風呂にする。
子どもとはいる風呂はいつだってしっかり自分を洗った気がしない。独身或いは子どものいないひとが聞いたら引くこと間違いなしな程度に自分のことを済ます。いいんだ。無事に風呂が終わらせられたことが重要なんだ。
それから3人分の頭をドライヤーで乾かして、むーすんでー(自分で)着るといってきかない娘がパジャマを着る(結局ぼくが着せる)のに時間を要し、ようやく夕食となる。ここで娘ははんぶんこと言って一つの椅子の共有をぼくに迫る。座らないと号泣するため事実上命令なのだ。娘が右側に座るので実に食べづらいし、食べさせづらい。ただ親子丼は兄弟にうけがよく、ふたりともたくさん食べてくれた。それでよしとしようじゃあないか。
後片付けをしているとケンカが勃発している。何度も仲裁に入るからちっとも洗い物が減らない。もう8時半かあ……。二人の歯磨きを澄ませ、万が一ぼくが寝落ちしてしまうことを想定してぼくも歯磨きを済ませて二人をベッドにつれていく。そして半分寝落ちしかかったがなんとか復活して今日の日記を書いている。21時。
こんなのが毎日で主婦(主夫)ってこれがずーぅっと続くのです。
今日はどうにも疲れたよ。なんとまとまりのない日記。今日だけごめん。