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The Golden Months : DAY 50

「未来を思い描いてみよう」

 

映画「インターステラー」では宇宙の様々な重力下にいる間に地球との時間のズレが発生して、クーパー(主人公)がほとんど歳をとらないうちに地球では70年以上が経過する。親子が再会したときは父親が40代なのに娘が80代になっていたのである。ある惑星で滞在した数時間のうちに地球では23年の月日が流れてしまうというシーンがある。クーパーは23年分のビデオレターを一気に見ることになった。息子が大人になり、結婚し、子どもが生まれ、祖父が死に、そして孫が病気で亡くなって……。

 

23年分もの成長をものの数分で凝縮して見てしまう親の心境とはいかなるものか。子育て、特に幼児期の子育てにおいて子どもの成長はなかなか実感しにくいものがある。また日々を消化することに精一杯でいつの間にか成長した子どもの変化に気が付かないことすらある。例えば外見の変化で言えば、普段一緒に暮らしていると4歳と5歳にそれほど違いはないように感じてしまう。しかし4歳のときの写真を1年経って見返せば想像以上に幼いことに驚くだろう。

 

クーパーの見た23年分の映像自体は過去のものだが、クーパーが見たものは子どもたちが成長していく未来の映像だった。ぼくらは子どもの成長をクーパーのように早回しで見ることもないし、過去形で語られることもない。だけど、子どもたちの未来を思い描いてみることはできる。

 

息子は来年小学生になる。まったく信じられないし実感も湧かないが、そろそろランドセルを買わないといけない現実が強制的に事実を押し付けてくるのだから間違いないようだ。ほぼ1年も前からランドセルを購入しないといけないのは甚だ馬鹿げていると思うが、今買わないと来年の4月に間に合わないシステムになっているらしい。それにランドセル一つに6〜7万円という「標準価格」にものけぞった。いやランドセルの話は別途にしよう。

 

とにかくランドセルを買うことになって小学生になった子どもたちというのはどんなものなのかなあと夢想してみたい。

 

例えば5年後。

 

息子は10歳で、娘は7歳になっている。幼児のときとは比べ物にならないくらい世話を焼く時間は減っているが、また別の問題が勃発しているに違いない。しかし5年も経過したのに10歳と7歳にしかなっていないことに驚く。5年も経ったのだから15歳くらいになっていてもよかろう。はい、ぼくは大丈夫です。

 

すっかり人間になった二人を相手にぼくはどんな会話をしているのだろう。二人はどんなことに興味を持っているのだろう。いろいろ難しいことを考えるようになって理屈っぽくなっているのかしらんとか、お父さん好きって普通に言ってくれているのかしらんとか、相変わらずお父さんの取り合いをしているのかしらんとか、とかとか。都合のいい未来を思い浮かべてひとりぐふふと一人ほくそ笑む。その希望に満ちた未来は現在という土台の上に成り立つことを夢々忘れてはならない。

 

こうありたいと願う未来を実現させるために、今しなければいけないことを考えよう。こういう考え方をBack Castという。もともとは釣り用語でぼくは釣りを通してすでにこの言葉を知っていたが、人生設計の考え方でもよく使われているようです。

 

子育てで辛いのは、あまりにも今に集中しなければいけないために、こうして未来を夢想してみようということを忘れてしまうことも一因である。今に忙殺されて日々の生活に意味を見いだせなくなるのだ。仕事で感じられていたやり甲斐が育児で感じられないのは、そのスパンが長すぎることにある。日々は決して同じことの繰り返しではないのにまるでメビウスの輪のようなエンドレス感に囚われてしまう。

 

しかし未来は確実に来るし、どんな先の未来であろうと今の積み重ねが未来になることを胸に今日もまた子育てに邁進したい。こんなことを考えられるのも保育園が再開して一人の時間が持てたからである。「よき子育て」を行っていく上で専業主ふのみなさんに必要なのはまさにこの一人の時間(しかもそれなりの長さの時間で)なのです。パートナーは理解するとしないとに関わらず時々差し上げたまへ。

 

今日で切りよく50日。毎日続けてきた子育てブログは一旦終了となります。陰ながら読んで下さったママ友さんたち、たまたまウェブで見つけていいねをつけて下さった方々に感謝いたします。自分のための日記ではありましたが、時々聞こえる「読んでますよ」の声が続けるうえで大きな力になったのは間違いありません。眠すぎて今日はやめてしまおうと思ったことは二度三度ならずありましたがなんとか途切れることなく書き続けることができました。そして一番の読者であった妻に支えられて乗り切った49日間でした。どうもありがとう、そしてこれからもよろしくな!