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幼語録(おさなごろく)を収集せよ

言葉によるコミュニケーション能力を獲得しつつある頃、とくに2,3歳児の言い間違いほど親を悶絶させるものはない。これが年齢を重ねるに従って、それもかなり早い段階で正しく発音するようになってしまい、同時にどう間違えていたのか親の記憶から消えてしまう。

 

あのときどんな風に言ってたっけと思い出そうとしてもなかなか思い出せるものではなく、記憶に蘇ったとしてもひとつかふたつだろう。しかし実際にはかなりの数の言い間違い発音違いをしてあなたの頬をほころばせていたのである。

 

そこで、今現在2,3歳児の子を持つ方々はただちに我が子の言い間違いをノートに記録しておくことをオススメする。言葉の羅列で構わない。とにかく今言っているおかしな発音を書いておくのだ。そしてそれは間違いなく10年後、20年後にかけがえのない思い出となってあなたの胸を打つに違いない。

 

さて、我が子の言い間違いを参考までに記しておきたい。

 

「新幹線→カンシンセン」 高島屋がたかましやになるのと同じ理屈の順番違いというやつだ。あんまりかわいいからこちらもカンシンセンカンシンセンと言っていたが突如新幹線と言うようになってぼくを悲しませた。

 

「各駅停車→カクエテキテイシャ」わざわざ長く難しく言っているように聞こえるが、本人は言いやすいようで電車好きの息子はよく連呼していた。これもいつの間にか各駅停車と言うようになってぼくを悲しませた。

 

「食べたい→ぽてたーい」これは娘の発音で無条件にかわいすぎる。しかし2歳半に近づく今はっきり食べたいと発音してしまってぼくを悲しませた。

 

「自分で→むーすんでー」もう待ってください。悶絶レベル最大です。なんでも自分でやりたがる娘がむーすんでーと言いながら一生懸命やる姿は一生このままでいてほしいと思うレベルの可愛さ。まだ言っているからぼくもむーすんでーと言い続けている。

 

「So long, Farewell→ソボーン、セベーン」サウンド・オブ・ミュージックにハマっている娘はこの曲が大のお気に入り。いつもこれを聴かせろとソボーン、セベーン、ソボーン、セベーン言っている。文字が読めない年頃は英語も日本語も別け隔てなく覚えるところが面白い。

 

「半分ずっこ→はんぶんずっこん」もはやこの程度では言い間違いのうちには入らないと思うだろうが、今はそう思っても後々記録しておかなかったことを後悔したくなかったら書き留めておくべし。大体において微笑ましい言い方というのは得てして些細なものなのだ。

 

本当はもっとあるはずだが、こんなことを書きながらぼくも記録を怠ってしまったため瞬時に思い出せる数がすくない。だから現在進行系のひとは日々記録し、子どもが言い間違いをしない年齢になってしまった方は今すぐ記憶を掘り起こして書き留めておこう。

 

そもそも、親であるあなたが残しておかなかったら何も残らないのである。本人がそれを記憶しておけるはずがない。実際5歳の息子はカンシンセンもカクエテキテイシャももう覚えていなかった。さあ今すぐペンをとろう。