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成長とは悩むことだ!

一日、一日と日を重ねて五年経ち、あんなにちっちゃかったキミは来年小学生になるんだね。

いろいろ物事を論理的に考えることができるようになって、ただただ無垢で純粋な存在から脱皮しようとしているキミは世界の広さと複雑さに戸惑いと恐れを感じるようになった。

 

それはいいことだよ。それがキミの身を守るのさ。だけど不安が大きいだろう。

キミは最近これから起こることへの不安をよく口にするようになった。

学校が始まったら自分はどうなるのか。なにもかもガラリと変わってしまうからとても不安だよね。大人だって不安さ。そんなことになったら不安で仕方がないさ。キミが不安がるのは隠さなくていいよ。恥ずかしいことなんてなんにもないさ。

 

キミはとても感受性が高い少年だからね。それで苦しい思いをするかもしれない。でもいいんだよ。そいつを無理に押し殺してはいけない。だってキミの感覚の鋭さはキミをキミらしくしている美点なのだから。苦しくなったらお父さんやお母さんに話してごらん。お父さんはいつだってキミのいい話し相手になっていたいものさ。キミが話しづらいと思うようになったらお父さん失格だな。

 

社会はお父さんが子ども頃とはまるで違うものになってしまったよ。悪いことが多いけど、そればっかりじゃないさ。いいことだって少しはある。多様性を認める風潮が出来つつあるのは悪いことじゃない。だからもしキミが学校へいけなくなってもこの世の終わりじゃないんだよ。もちろん好きで学校に行ってくれるに越したことはないけどね。万が一の選択肢があるというのは安心だろう?

 

毎日毎日急激に進化を遂げている最中のキミだから、ぼくには見えない気づきが日々あるんだろう。ぼくから見れば変わらないキミだけれども、キミの中はどうしてわかってくれないのの気持ちでいっぱいかもしれないね。二歳の妹にばっかり構ってしまって妹の味方ばかりしてキミに我慢させているなとお父さんも苦しいんだ。両方の希望を叶えてあげられればいいんだけど、なかなかそうもいかなくてさ。

 

悩みなさい。好きなだけ悩みなさい。思いっきり悩みなさい。ときに悩みを妥協し、悩みを征服し、悩みを乗り越えて、また新たな悩みを発見する。その繰り返しだが、キミは上昇するスパイラルに乗ってどんどん成長していくんだよ。成長ってどれだけ悩んだかってことじゃないかな。

 

できることがどんどん増えて、行動する範囲がどんどん広がって、やがてキミは冒険に出る。それまでに、キミのこころの芯となるものを一緒に育んでいこうじゃないか。