· 

炎天下の昆虫採集

 

季節はどんどん暑くなっているというのに、全然虫捕りに連れて行ってくれない!息子の我慢も限界なのだろう。なにしろすぐに臨界点に到達してしまうがそれが子どもだから仕方がない。週末は雨だったり親の都合に付き合わせたりしていたから確かに外での遊び時間が少なかったのは事実である。今日の空は、晴れている。梅雨の合間の晴天だ。日照不足を取り戻すような力強い光が降り注いでいる。

 

 

 

じゃあどこへ行きたいと聞けば葛西臨海公園だという。さてどうしたものか。午後は妻がカイロへ旅立ちたいじゃなかったカイロプラクティックに行きたいといっているので14時半には帰宅しなければいけない。そして現在11時。微妙だ。なにが微妙なのかと言えば息子の足で行って帰ってこれるのか実に微妙な時間である。しかしどこへ行きたいと聞いてしまった手前引っ込みがつかなくなっているのもまた事実である。息子はもう行く気でいる。よし行くか。いざとなったら途中で引き返せばよいのだ。そう思って表へ飛び出した。

 

 

 

久しぶりの息子とサイクリングである。日差しは強すぎるくらいに強いが自転車で風を切れば気持ちがいい。荒川の河川敷にはいると芦原からむせ返るような植物の匂いが吹き出している。「お父さん、いい匂いだね!」そうそう。そうだよ息子よ。これが自然の匂いだ。オオヨシキリが威勢のよい喉を響かせている。あの啼声はなに?「オオヨシキリ!」正解!

 

 

 

太陽はジリジリとその威力を増している。息子と一緒のスピードではとても涼しさなど感じられなくなっていた。要するに、暑い。すると息子は出現した草原を眺めて大声でつぶやいた。「ああここで虫捕りがしたくなっちゃった」じゃあいいよ、ちょっとだけ止まろうか。

 

 

 

初夏のこの時期バッタはみんな子どもである。だから小さいけど数だけはたくさんいる。動きも成虫ほど素早くないし、飛翔距離も短いから簡単に捕まる。ぼくには面白くもなんともないが、息子はたくさん捕まえられるから楽しいようだ。しかしそれにしても暑い。木陰になるような樹木など一本も植わっていない。建物もない。いつもは快適に感じる広い空が今日はうらめしい。

 

 

 

ところがそんなぼくとは反対に息子はショウリョウバッタの子どもを次々と捕まえて嬉々としている。そんなに捕ったら少量じゃなくなっちゃうよと思いながらぼくもカメラで虫撮りをする。日差しが強すぎて液晶がほとんどみえない。カメラがどんどん熱くなっていくのが手に伝わった。もうそろそろ行こうかという言葉に息子は抵抗する。子どもは風の子というが、うちの子は太陽の子だ。どんなに暑くてもへっちゃらでもくもくと昆虫を捕っている。

 

 

 

ようやくサイクリングを再開して葛西臨海公園に到着。案の定時間がギリギリになっているからジュース休憩だけしてすぐに帰路につく。復路は往路に比べて時間がかかるのが常である。疲労が出てくるのもあるが、帰ることへの期待感がないせいもあるだろう。頑張れ頑張れと励ましながらなんとか小松川公園まで戻ってきた。ここまで帰ってこられればもう大丈夫だ。アイス休憩をしようと息子を誘ってコンビニへ行く。もう何回こうして二人でアイスを食べたかなあ。夏でも冬でも関係なく食べたなあ。キミはすっかりアイスを食べるのが上手になったなあ。口のまわりにほとんどつけないじゃないか。

 

 

 

サドルはいくらでも高くできるけど自転車の小ささはいかんともし難いなあ。来年にはもっと大きな自転車にしようなあ。変速機もいよいよついて、もっともっと遠くまで走れるようになるなあ。楽しみだなあ。お父さん本当に楽しみだよキミの成長が。