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コロナで保育園休園、もう何回目か忘れた。

最初に緊急事態宣言が出て、一ヶ月以上休園したのはもう二年前か。あの頃の緊張感はすでになく、コロナに対する考え方も知識もだいぶ変わってきたと思うのだが相変わらず政府の対応だけは変化なし。

 

娘の通う保育園で感染者が出たというので一週間休園になってしまった。簡単に休園にしてくれるなよと思う。思うが閉められてしまったのだからどうしようもない。だからぼくは娘を連れて朝日の差し込む森へとやってきた。夜に結構な雨が降って、まだ木々の葉に雫がついたまま。そこに朝日があたって金の輝きを地面に降らせていた。

 

春が始まったのだなあ。森の中はぽかぽかと暖かく、植物の匂いが立ち始めている。娘はどこまでも続く森の小径の先を眺めては怖いと言う。お父さんいるから大丈夫だよお父さんこの森よく知っているんだよ。それでも娘はぼくの手をしっかり掴んで離さない。娘のポカポカの手とぼくの冷たい手。娘は冷たくて気持ちがいいと言い、ぼくは手が温まっていいと言った。じゃあ交換しよう。そう、熱交換って言うんだよ。

 

暑いといって上着を脱いだ。たしかに日差しにあたるとぼくでも暑いくらいだ。冬が終わったんだなあ。それにしても、キミとこうして森を散歩しているなんて去年には考えられなかったなあ。公園よりずっといいよなあ。願えば叶うか。

 

お父さんじゃんけんしよう。じゃんけん前の儀式を教えたら、腕をくるりんとまわすのが面白いのか最近はじゃんけんばかりしている。勝っても負けても関係なし。このごろは後出ししなくなったのだから成長は着実だ。

 

 森は歩いているだけで遊び道具にこと欠かない。落ちているものそこにあるものすべてが遊び道具だ。蔦の切れ端を拾って輪っかにして、そうそこから見える世界は違うのかい?

 

やあ、おしえなくなって自分でそうやってみつけるんだもの。自然は偉大だなあ。

娘もぼくも手を真っ黒にして、棒を拾ったり朽木をつついてみたりなんだろうと思うことはなんでもやってみて。ぼくはあぶないときだけ声をかけるから。

 

お兄ちゃんばっかりずるい!自分にもライトセイバーを作ってというから作ったら、写真じゃなくて手に持たせてほしいのだって。ちょっとさすがにそれは無理なんだよなあ。いやほんとは押入れにあるんだけれども。秘密。