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午前中は公園で。

回答にこまる質問をされた。

娘「ねえ、なんで私が赤ちゃんのとき履いていたピンクの靴は足が大きくなったから履けなくなったの、なんで?」

ぼく「……。」

 

いや、今自分で理由言ったでしょ、答え言ったでしょと言ってはいけない。以前そう返したら「なんで!早く答えてなんでって聞いてるでしょ!」と怒られたのである。「いやだから足が大きくなったから…」「ちーがーう!はやくなんでって言ってるでしょ!」

 

という具合である。だから以後ぼくはそのたぐいの質問はスルーして話題を変えることにしているのである。なにがおっしゃりたいのかさっぱりわからない。

 

保育園が休園なので仕方なく朝早くから公園に来ている。8時半くらいではほとんど人がいないが、9時過ぎるとどこからかわらわらと人が現れて、この広い航空公園でさえ人の見えない場所はなくなる。ただしそもそもの面積が広いのでいい感じに人が薄まって密という感じはしない。

 

朝は冷たい北風が吹いていて寒いと思ったが次第に太陽の力が増して薄手のコートでさえ暑く感じてきた。娘はバッグにお菓子が入っているのを知っているため、ひとつ遊んではお菓子を要求する。

 

三度の食事は食べさしてというくせにおやつになると率先して自分で食べている。ぜひご飯もそうして頂きたい。法法華経。近くで鶯が鳴いた。今年初めて聴く。まだ練習中で下手くそに法法華経と鳴いている。鶯は誰に教わるでもなく自分で練習して上手に歌えるようになっていく。不思議なものである。

 

娘はたべっ子どうぶつが二袋あるのを知っていて、一袋はお父さんのだよと言っても通じない。不良のカツアゲよろしくぼくから巻き上げていく。その恐喝方法が変わっていていわゆる泣き落し作戦だ。昔ドリフのコントで同じようなものがあった。いかりやと加藤の不良が志村から金を巻き上げようとするのだが、泣き落としされてしまい逆に金を払ってしまうという内容だった。ああこれだよこれとぼくは内心思った。

 

日差しのぽかぽかに誘われて冬眠していたテントウムシたちが日向に出てきた。最初見つけたのは一匹だったが、そのうちあちこちから何匹も見つかった。テントウムシは集団で冬眠するのだ。しばらく二人でテントウムシ集めをして楽しんでいたが、娘が茂みに足を取られてすっこけて膝を擦りむいたので終了した。血が滲んで、娘はてひゃんはんはーんと泣いて足が折れたと主張した。11時半を過ぎて帰るのにちょうどよい時間だったので、ぼくらは自転車に乗って帰ることにした。帰り道、ふとみれば娘は眠っていた。