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ロマンティックな子どものセリフ

 

今朝。いつものようにふとんをガバっとはぐと、冬眠中の昆虫みたいな動作をして子どもたちがうごめいた。

 

「朝だよ。もう7時だよ。起きろ」

 

わりかし目覚めのいい息子はさっさと起きあがって階下へと降りていった。一方娘ちゃんは文字にできない音声でひとしきり叫んでこういった。

 

「ちゃんとぎゅってしてくれる?」

 

「え、なにを?」ぼくは思わず聞き返した。

 

「あたしのこと!」

 

 

 

こんなセリフ、付き合いたての彼女だって言えまい。堂々と言って許されるのはナタリー・ポートマンくらいだ。だけど子どもたちは別である。大人が聞いたらそこにロマンティシズムを感じないではいられないセリフを普通に使うから、こっちのほうが恥ずかしくなってしまう。

 

 

 

こういうセリフは娘よりも息子のほうが得意だった。もっとも本人は得意とは思っていなくて、ただ自然に使っていただけなのだろうが思わず彼女かよと言ってしまいそうなセリフをよく吐いていた。

 

 

 

「ちゃんとぎゅってして。しっかり抱きしめて!」

 

 

 

息子がやはり今の娘と同じくらいのころよく言っていた。思わずお前はナタリー(以下略)。

 

なんでこんなセリフを言うのかといえば、ぼくがふざけて手をぶらんぶらんにしたりするからである。抱っこちゃんもしつこいと疲れるので時々手を抜いて適当に相手をすると上記のようなセリフが飛び出す。

 

 

 

こういうことを言ってくれるのは4,5歳のうちである。小学校にあがると知恵がついて言わなくなる。現に息子はもう言わない。娘はいつまでこんなセリフでぼくを楽しませてくれるのかな。